2017-01-10

「2017年宗教改革500年 カトリックとルーテルの共同声明」に学ぶ ⑷-④

本文から
 以前に増して一層わたしたちは、この世界におけるわたしたちの共同の奉仕が開発や飽くことを知らない欲望にさらされている神の創造へと拡張されねばならないことを認識しています。わたしたちは将来の世代が神の世界をその可能性と美しさのすべてにおいて享受する権利を認めます。わたしたちは、この被造の世界のために愛と責任をもってこれを導くよう、心と思いが変わっていくように祈ります。

学び
 この声明は、こうした世界の争いや差別、迫害という課題を見据えながら、その奥に隠された現代世界を息に人間の根本的な問題にまで切り込んでいる。
 人間の経済・文化が人間の「開発と飽くことをしらない欲望」に支配されていて、それが本来人間が神の創造に参与し、世界を守り、ケアするつとめを負っているにも拘らず、むしろ、被造物全体を傷つけ、損なってしまっていること現実を見つめている。だからこそ、この世界そのものに対する奉仕ということを地球規模において全面的に展開していかなければならないというのだ。「神の世界の可能性と美しさ」が失われていく。その危機感を持っているからこそ、いま、それを次の世代に、またその次の世代へと引継ぎ、守らなければならないと表明する。
 20世紀の後半、人間の健康をも損なうような深刻な環境破壊を体験してきた。また、平和利用という神話のかげで、核の取り返しのつかない放射能汚染の危機を抱きかかえてきたのだ。それは近い将来に人間のいのちそのものを脅かすものであることを予想させるのだ。だからこそ、いま、この問題から目を背けることのないように、この世界に対する「愛と責任」を心にきざむのだ。

 昨年、教皇フランシスコは回勅「ラウダート・シ」を明らかにし、次の世代の子どもたちに神の創造された世界を引き継いでいく責任を語った。具体的に環境問題に深く減給するばかりではなく、基本的にこの世界のなかで人間が生きる意味や価値が失われていくような現実に対してキリスト教の果たすべき使命を語っている。
 この声明も、回勅が明らかにしている課題を共有し、両教会が被造世界全てに対する責任を分かち合うということを確認しているのだ。
 


 

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