2017-04-08

デール記念講演 『寄り添い人となる——全信徒祭司の教会』

今年は、ルターの宗教改革から500年を記念する年となりますが、宗教改革の教会の一つの特徴として、教職と信徒の間に霊的な差を認めず、牧師を含む全ての信徒がキリストによって祭司として互いに仕え、とりなし、支えあう全信徒祭司性の考え方が挙げられます。




 病気の人を見舞ったり、災害の被災者を支援したり、教会では信徒も牧師もそうした困難をもっている方に寄り添い、祈り支える者となることが求められていますし、そうありたいと願うものです。
 けれども、実際のところ、いったいどのように寄り添う者となり得るのか、具体的なことの前に戸惑い、足踏みをしていることがおおいのかもしれません。
 信徒も牧師も、教会の働きとしての牧会を担うものであるように、必要な学びのプログラムがステファン・ミニストリーという取り組みになって作られてきました。今年の記念講演会では、このプログラムをつくられたケネス・ハーグ氏をお迎えして、全信徒祭司の教会とはどういうことなのか、共に学びたいと思っています。

      日時:2017年5月20日(土)10時半
      場所:日本福音ルーテル東京教会
      講演者:ケネス・ハーグ氏 (米ルーテル教会牧師、精神科医)
                              アミティ・ハーグ氏(信徒牧会者養成指導者)

 多くの皆さまにおいでいただき、共に学び、また共に新しい力に満たされていきたいと考え、ご案内申し上げる次第です。どうぞ、それぞれの教会でご紹介いただき、お誘い合わせの上、おいでいただければと思います。

2017-04-06

信徒と牧師のためのルター・セミナー

信徒と牧師のためのルター・セミナー
      500 年の年、ルターに出会う!

 毎年、6月にルター研究所が主催となって「牧師のためのルターセミナー」が開かれているが、今年はいつもとおもむきを変えて、信徒も牧師も共に学ぶ特別の企画とした。500年に一度ということでの、特別企画!!

 日程は、6月5日(月)〜7日(水)
 場所は、マホロバ・マインズ 三浦
 参加費は、25,000 円 となっている。

別に、ルターくんが登場するわけではないけれども、宗教改革者マルティン・ルターの生涯、そしてその神学、ルーテル教会のことなどについて学びを深めていく企画だ。特定のテーマで深めていくということではないけれども、いわゆる「95箇条」といわれる、改革の発端となったものの背景やその意味などからはじまって、ルターをみんなで学んでみようという集まりとなる。
温泉があり、マグロもおいしい三浦での二泊三日。信徒も牧師もみんなで学んでみようと、企画を練っている。詳細が決まり次第、またお知らせしたい。

内容:
 1. ルターの生涯
 2.「95ヶ条」を学ぶ
 3.宗教改革時代の美術
 4.ルターと聖書
 5.500年の意義(カトリック教会とルーテル教会のエキュメニズムと)

質問コーナー、音楽鑑賞あり

 申し込みはルーテル学院あてのファクスで
  0422−33−6405

 その他、ルター新聞などに記載の方法で申し込みください。
  



2017-04-03

おふぃす・ふじかけ賞をいただいて


 拙著『キリスト教における死と葬儀:現代の日本的霊性との出逢い』がおふぃす・ふじかけ賞というものをいただいた。この賞は、聖学院大学教員のクリスチャンで臨床心理士の藤掛明先生が、ご自分のブログで2015年から立ち上げられた企画で、今年が第三回目になる。過去一年の間に出版されたキリスト教カウンセリング関係の書物を取り上げて、ご本人いうところの「独断と偏見」をもって「もっとキリスト教カウンセリング本に注目しよう!」とお勧めの本を選定して授与される。

 今年の受賞作、私のもの以外には、
蔡香氏の『よい聴き手になるために』(いのちのことば社)、
そして「発掘賞」に『恵みのとき』( 晴佐久昌英氏  サンマーク出版 2005年)
が選ばれている。

 出版業界の現状は厳しく、特にもキリスト教関係の本はなかなか売れないということだが、それでも、この分野でも出版される本はそれなりの数にのぼるだろう。それらに目を通されて、おひとりでこうした賞を出されるということのご苦労を思ったりもする。しかし、多くの本が世に出るだけに、何を読んだらいいのかと思うとき、先生の取り組みに導かれることができると思ってもいたのだった。
 私自身もこうしてブログを書いていて、キリスト教入門や神学生向けに本を紹介することも行っているので、なかなか新刊本に目を通せないでいる自分を恥ずかしく思い、見習わなければと思っていたところだった。
 そんななか、思いもしない受賞の知らせを受けた。今年は特にカウンセリング関係の良書が多く出版されていたそうだから、私の本などがお目にとまったこと自体、大変光栄だと思う。
 実際、牧会とかカウンセリングといったことばがタイトルにあるわけでもないし、私の専門も実践神学というわけではないので、拾っていただいたこともいささか気恥ずかしいくらいだ。ただ、この本そのものは、雑誌「Ministry(ミニストリー)」や本のひろばの別冊で書かせていただいたものに加え、神学校やいろいろな教会でともに学ばさせていただいたところを書き綴ってきたものを中心に編んだもので、実際の教会の牧師が看取ることから葬儀、そしてその後とつづく本人と家族へ寄り添うことを考えて、具体的な問題に触れながら書かせていただいた。ご推薦いただいたわけで、すこしでもお役に立つものが書けたのなら、本当にうれしい限りだ。

 現代は、社会全体が大きく、加速度的に変わっていくなかに、一人ひとりが投げ出されていて、人間同士の関係の在り方もその大きな変化の波に飲み込まれている。それぞれにストレスを抱え、大きな重荷や困難、痛みを負っている人たちが、癒される場も時間もないままに、それでも日々を生きていかなければならないということが現実であろうか。かえって、互いに傷つけてしまうことも多いのだろう。それだけに、藤掛氏が勧めてくださっているような、牧会、またキリスト教カウンセリングの実践的な示唆が現場で求められているのだと思う。
 昨年の春、千葉の佐倉の教会で事件となったことが報道されたが、私たちの牧会の現場では決してあり得ない話でなく、いつ起こっても不思議でないほどに、同じような課題に直面していることだろう。それだけに、牧師、教会がいろいろな意味で牧会の力をつけていかなければならないし、また外部の専門機関との連携も必要となってきているのだ。
 一昔前だったら埋もれていたかも知れないような「闇」を、クリスチャンであろうとなかろうと、実は抱え込んでいることが深刻な課題として表面化してきているのだ。DV、モラハラ、引きこもり、希死念慮などは何時でも私たち自身の問題であると、知らされているのではないだろうか。今回書かせていただいたのは、おもに死と葬儀、看取りと悼みということをテーマにしていたので、あまりそうした問題に触れることはなかったけれども、実はその背景には高齢社会、介護の現実、家族の崩壊という問題があって、そうした「深い闇」の土壌こそが見出されていなければならないのだと承知している。
 
 長くなったが、そうした今日の私たちの社会、また教会における牧会やカウンセリングのニーズは高い。その意味でも、(私のものは別にしても)この藤掛氏が紹介してくださる書は私たちにとって大切な道しるべとなるように思う。私たちの神学校にあるデールパストラルセンターの牧会研究会や臨床牧会セミナーなどの働きも、こうしたニーズに応えるものでありたいとおもっている。

過去2年間の受賞作は、以下のとおり。

2015年度の受賞作:
『牧会相談の実際』(藤掛明・小渕朝子・村上純子編著、あめんどう)、
『死と向き合って生きる』(平山正実著、教文館)、
『自死遺族支援と自殺予防』(平山正実・斎藤友紀雄監修、日本キリスト教団出版局)、『牧会の羅針盤』(関谷直人著、キリスト新聞社)。

2016年度の受賞作:
樋野興夫著『こころにみことばの処方箋』(いのちのことば社)、
工藤信夫著『真実の福音を求めて』(いのちのことば社)、
向谷地生良著『精神障害と教会』(いのちのことば社)、
上林順一郎監修『教会では聞けない「21世紀」信仰問答Ⅱ』(キリスト新聞社)、
土井健司編『自死と遺族とキリスト教』(新教出版社)
この年から、加えて「発掘賞」として、過去の出版物から選ばれた。
賀来周一著『キリスト教カウンセリングの本質とその役割』(キリスト新聞社)

……………
ちなみに、記録として、この間にいただいた書評なども、ここにおいておきたい。
それぞれに、お読みいただきご評価いただいたこと、感謝にたえない。

本のひろば 2016年11月号
http://www.bunsyo.or.jp/pdf/2016_11.pdf

「礼拝と音楽」2016年Autumn 171号

クリスチャントゥデイ 2017年1月6日