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2025-02-10

第6回臨床牧会セミナー(第59回ルーテル教職神学セミナー)

今年も、臨床牧会セミナー(ルーテル教職神学セミナー)の季節となった。
今年度はリトリート。教職たちが自らのいのちのありようを神との関係の中に見つめ直し、新たな息吹に生かされることを願っての企画だ。 テーマは、「召命の再確認——「主がお入り用なのです」(ルカ19:31)」2月11・12日の両日を日本聖公会の施設「ナザレの家」で黙想の時を過ごす。 忙しさの中、ほとんど「仕事」と化している私たちの日々は、本来は、神に捧げ、人々に支えるものとしてそなえられたもの。教職として召されている私たちはいったいその恵みを忘れかけているのかもしれない。 もちろん、現代社会の中で、牧師もまた一人の労働者であるし、適切な働き方とその生活の保障が考えられなければならないことは言うまでもない。 けれども、教会の教職となるということは、やはりその働きにおいて与えられる特別な恵みを試練と共に知っているはずなのだ。 その喜びは、ただ、神との関係の中に見出されるのかもしれない。 それなのに、私自身もそうだけれど、なかなかその恵みを想う時が限られたものになってしまっている。 ルターは、忙しい時こそ祈ることにつとめたという。祈れない時は詩編をもって独り個室のこもるといった。 深い沈黙の中で、私は神のみ声にのみ呼び出され、その息吹に生かされるはずなのだ。

報告:
昨日、一昨日とナザレの家にてリトリートをいたしました。
恵まれたひと時でした。ファシリテーターには、聖路加大学、国際病院の成成鍾チャプレンをお迎えして基本的にはレクチオ・ディヴィナの作法に則る形で行われました。
(レクチオ・ディヴィナは、レクチオ(読書)、メディタチオ(黙想)、オラチオ(祈り)、そしてコンテンプラチオ(観想)の4つの段階を踏みながら神のことばを受け取り、またそれに生かされていく方法です。)

1日目、午後に集まって、オリエンテーションを行なってから黙想の実践に入りましたが、基本的には、この二日間は大沈黙として、参加者はお互いの間で自己紹介も含め一切話しをせず、神と自分との関係に集中した黙想の時間といたしました。
成先生はテキストから「子ロバ」に視点を当てながら、黙想のための4つのお話をされてそれぞれに15分ほどの黙想の時間を持ちました。その後には個人黙想と霊的同伴を実施。

二日目には、同じくテキストから3つの話をされ、それぞれに30分ずつ。また神の御用に用いられるという召命の出来事のたとえをマザーテレサのことばに触発されたヒントとなる短い5つのポイントをお分ちくださってまた30分ほどの黙想をいたしました。
午後にはまた個人黙想と霊的同伴を実施。
その後、大沈黙を解いて、それぞれに受け取ったものを分かち合いました。4人の神学生を含めて、教派を超えて20名以上の教職者たちが参加、全員が神の恵みと召しを新しく受け取るような聖なる時間をいただきました。
感謝します。




2024-02-17

牧会研究会Plus「いのちにつながるコミュニケーション」

 デールパストラルセンター主催の牧会研究会は今年特別企画として、牧会研究会Plus「いのちにつながるコミュニケーション」を企画しました。

講師は三村修牧師 (日本基督教団佐渡教会牧師)です。三村先生はボセー・エキュメニカル研究所(世界教会協議会、スイス)での学びを出発点に、マーシャル・ローゼンバーグ氏により体系化された「非暴力コミュニケーション=共感的コミュニケーション」を学ばれ、この理論に基づいて、互いの「感情」や「必要」を大切にしつながりを育むコミュニケーションづくりを学ぶワークショップ、またメディエーション(仲裁)の練習と実践を、教会をはじめ各地で各世代に提供しておられます。

牧会者として、「共感的コミュニケーション」について実践的な学びができることは何よりも大きな恵みです。私たちは社会において、あるいは教会の交わりや家族の中にあっても、さまざまに痛みと緊張のある関係を経験しています。このワークショップを通して、自分自身の深い思いや相手の中に隠された感情に気づき、自分自身を改めて省み、他者との本当の出会いへと開かれていくことでしょう。何よりも私たちがともに神に愛された存在(いのち)として、お互いに喜びを分かち合うようにと召されていることに気付かされることでしょう。

このプログラムは以下の3回のシリーズです。そのうちの初めの2回はデールパストラルセンターの通常の牧会研究会の第2回と3回の講座として開かれているものです。このPlusのみの参加も可能ですし、通常の牧会研究会に加えた一泊の研修として参加いただくこともできます。


510()1330-1530(オンライン) いのちにつながるコミュニケーション①

614()1330-1530(オンライン) いのちにつながるコミュニケーション②

826()1330~ 27()1530 (一泊2日の対面)    

                      いのちにつながるコミュニケーション③

                                -和解の出来事に仕える

問い合わせ、お申し込みについては

日本ルーテル神学校附属研究所デール・パストラル・センター(E-mail:  dpc@luther.ac.jp )

にお願いいたします。




【対象者】教派にかかわらず各教会教職者、聖職者


【定員】20


【受講方法・費用】(下記費用にはワークショップに伴う宿泊・食費は含まれません)

 1. 以下の3つのパターンからお選びください。

 A.  年間10回の牧会研究会 オンライン講座のみを受講:¥20,000

 B.  Aに加えて牧会研究会Plusを受講:¥25,000

 C.  オンライン5月・6月とPlusのみを受講:¥9,000


 2.デール・パストラル・センター事務局までE-mailにて以下を記してお申込みください。

  受講パターン(ABC)、②お名前(ふりがな)、③教会名・教職位、

④ご住所、⑤E-mailアドレス、⑥連絡用のお電話番号

いただいた個人情報は厳重に管理し、研究会および今後のDPCからのご連絡にのみ使用します。


【申込期日】

315日(金) 

牧会研究会 2024

 今年も日本ルーテル神学校付属のデールパストラルセンターは、牧師を中心とした牧会の任をもつ方々のために牧会研究会を開催します。今年は牧会者である私たち自身を振り返り、また霊的な務めに召される中での自身の養いに向けたテーマで企画しています。




ポストコロナということで、昨年は全10回を対面にて行いましたが、遠隔地にある方々にはご参加いただけず、多くの方にハイブリッドでの開催についても問い合わせをいただきました。しかし、現実的には対面とオンラインを混在させることに技術的困難があり、今年の牧会研究会開催についてはオンラインのみの開催といたしました。以下のような講師による、全10回のプログラムです。どうぞ、ご参加くださいますように。

しかし、同時に対面でのかけがえのない学びを実現したいという思いもあり、牧会研究会Plusという対面でのプログラムを合わせてご紹介しています。上の10回と合わせての申し込みもいただけますし、また、このPlusの企画として2回のオンラインと一泊の対面での研修会として独立したプログラムとしてもご参加もいただけます。この牧会研究会Plusは、別にご案内いたしますので、そちらをご覧ください。

いずれも、問い合わせ、お申し込みについては

日本ルーテル神学校附属研究所デール・パストラル・センター(E-mail:  dpc@luther.ac.jp )

お願いいたします。

【講師】  成 成鍾 (日本聖公会東京教区司祭

      三村 修  (日本基督教団牧師)

      関野 和寛(DPC所員)

      石居 基夫(ルーテル学院大学学長、DPC所員)

      ジェーム・サック(日本ルーテル神学校教授、DPC所員)

 

【年間予定】各回13:30-15:30オンラインZoom

1回  412日  牧師のセルフケア  (ジェームス・サック)

2回  510日  いのちにつながるコミュニケーション①  (三村修)

3回  614日  いのちにつながるコミュニケーション②  (三村修)

4回  712日  クリスチャンでない人々の看取り  (関野和寛)

5回  913日  牧会者の心  (石居基夫)

6回 1011日  牧会者と霊性修練Ⅰ‐準備過程  (成成鍾)

7回 11月 8日  若手・新人牧師に必要な防衛-教会内批判者論理から  (関野和寛)

8回  110日  牧会者と霊性修練Ⅱ‐理論と実践  (成成鍾)

9回  214日  聖人君子からの脱却-インターナルシステム理論  (関野和寛)

10回 314日  牧会者と霊的同伴  (成成鍾)




【対象者】教派にかかわらず各教会教職者、聖職者


【定員】20


【受講方法・費用】(下記費用にはワークショップに伴う宿泊・食費は含まれません)

 1. 以下の3つのパターンからお選びください。

 A.  年間10回のオンライン講座のみを受講:¥20,000

 B.  Aに加えてPlusを受講:¥25,000

 C.  オンライン5月・6月とPlusを受講:¥9,000


 2.デール・パストラル・センター事務局までE-mailにて以下を記してお申込みください。

  受講パターン(ABC)、②お名前(ふりがな)、③教会名・教職位、

④ご住所、⑤E-mailアドレス、⑥連絡用のお電話番号

いただいた個人情報は厳重に管理し、研究会および今後のDPCからのご連絡にのみ使用します。


申込期日】

315日(金) 

2022-02-26

「詩編と祈り」第IV期 開催のお知らせ

昨年度秋に再開されました「詩編と祈り」の講座、2022年度前期に第IV期、講座の最終ステージを開催することとなりました。
いのちの最期の時を、祈りの音楽の中で大いなる神の恵みに運ばれていく。そうした恵みをホスピスや施設などでご奉仕し実践の中で分かち合ってこられたキャロル・サック氏が企画してくださったプログラムです。キャロル氏による「祈りの竪琴(リラ・プレカリア)」の実践を支え、形作っていくこととなったプログラムの一つを新しい形でお分ちいただけるように、2019年度に始められましたこの企画は、4回を一つの期で開催し、四期、全16回の講座として企画してきました。
今年は、その最後の企画となります。
この動画は、キャロル氏によって家庭での祈りや黙想に役立つように詩編をハープと共にお送りしたものですが、祈りと音楽はキリスト教の伝統の中で人々の深いスピリチュアリティを養ってきたのです。
プログラムでは、人間のいのちに神の恵みがどのように深く私たちを導き、生かすものであるのか、尋ねつつ学びを深めてまいります。




もちろん、第一期から続けてくださっている方は多いのですけれど、毎回新たな形でプログラムを考えてきています。第四期が初めて参加という方でも歓迎いたします。
どうぞ、下のHPから、参加のご希望申し込みをいただけますように。
人数制限がございます。
お早めにお申し込みください。








今、問われる牧会(2022年度 牧会研究会)

各教会の状況は厳しい。

礼拝はさまざまな工夫の中で、オンラインでの配信なども含めて守られているけれども、おそらくさまざまな活動は制限されたまま。食卓を囲むことができず、宣教を生きる信徒一人ひとりが互いに祈り、支え合う聖徒の交わりを力とすることが難しい状況が続いている。

今、牧会が問われていると言って良いだろう。






DPC主催の「牧会研究会」も新型ウイルスの影響を受けて、2020年度は活動を休止し、昨年21年度は4回の研究会をおこなうのみであった。しかし、状況の中でオンラインによっても、学ぶ場を作り、現場にある牧師たちが互いに語り合い、模索する日々を分かち合う時がが必要と考えた。

今年は、以下のようなラインアップで計画をしている。

講師は 

 堀 肇(鶴瀬恵みキリスト教会牧師、CCC講師、デール・パストラル・センター所員)、 

 成 成鍾 (日本聖公会八王子復活教会牧師)、 

 関野 和寛(日本福音ルーテル教会牧師、デール・パストラル・センター所員)

 ジェームス・サック(日本ルーテル神学校教授、デール・パストラル・センター所員)


日程とテーマは以下の通りとなる。

4 8日(金)牧会カウンセリング講座1「家族心理学の応用」(堀肇)

513日(金)「人間のパーソナリティ(気質)に基づくカウンセリング」(J・サック)

610日(金)牧会カウンセリング講座2「発達心理学の応用」(堀肇)

711(月)「これまでの日本の牧会とその課題」(関野)

9 9日(金)牧会カウンセリング講座3「交流分析の応用」(堀肇)

1014日(金)「霊性と牧会」(成 成鍾司祭)

1111日(金)牧会カウンセリング講座4「フランクル心理学の応用」(堀肇)

113日(金)「スピリチュアル・ペイン(心の痛み)とそのケア」(J・サック)

210日(金)牧会カウンセリング講座5「心理療法とキリスト教」(堀肇)

313(月)看取りの牧会、哀しみの時を豊かな時間に(関野)

 

お申し込みについては、HPをご参照いただきたい。


DPC牧会研究会 案内


2021-08-16

デール記念講演会「たましいの安らぎ」藤井理恵氏

日本ルーテル神学校附属研究所デール・パストラル・センターでは2014年の設立以来、ケネス・デール先生のお名前を冠しての講演会を開催してまいりました。これは、困難な時代に生きる私たちが互いに支え合い、共に生きるために、何を考え、大切にしていくのか、ともに学ぶための講演会です。


残念なことにはCOVID19をはじめ諸般の事情により、2019年度と2020年度は開催がかないませんでした。

けれども、このたびこのような状況下ではありますが、今この時にこそ、お話をお伺いするにふさわしい講師をお迎えし、オンラインでの講演会を開催いたします。



淀川キリスト教病院ホスピスのチャプレンとして「死の現実と向き合う方々」に寄り添い働いておられる藤井理恵先生から、神の恵みが働くことによって与えられる「たましいの安らぎ」についてお話を伺います。先生は、昨年同じタイトルでの著書を出版されています。




2021年10月2日 午後1時半から3時半、Zoomを用いたオンライン講演会です。


急速に拡大する感染症は、私たちの日常を奪い、またいのちを奪う勢いをとめません。けれども、そのいのちを守り、また支え、祈ることもまた、休みことなく働いています。ひとりの人をケアすることが確かなたましいの安らぎに結びついていく実践がどのように紡がれていくのか。


牧会の現場にある牧師、隣人に寄り添う信徒、また大切な方をなくされ悲しみの中にたたずむ方にも、ぜひお聞きいただきたく、ご案内申し上げます。





専用申し込みにリンクするサイトは以下の通りです。

https://www.luther.ac.jp/lutheran/news/20210629-01.html


お申し込みをいただいた方に zoom参加に必要なID、パスコード、URLなどを差し上げます。





2021-06-15

「いま、教会の牧会は~ COVID-19の只中で見ていること~」

第4回臨床牧会セミナー(第55回教職神学セミナー)報告  (DPCニュースレター掲載)

全体主題「いま、教会の牧会は~ COVID-19の只中で見ていること~」

 

過去3回の同セミナーは三鷹の神学校キャンパスに於いて二泊三日のプログラムを持って実施してきたが、今年はオンラインでの取り組みとした。28日・15日・22日(月)の午後、2時間半ほどの時間で、講演とグループ討議を合わせた形でのプログラム。直面している牧会の課題を考える場となった。

ここでは、講師の講演をきっかけにどんな学びがなされたかをまとめて報告したい。

(報告:石居基夫)

 

 

【第1日目】

講師には、日本基督教団吉祥寺教会牧師で、現在日本ルーテル神学校で「牧会学」を担当されている吉岡光人先生をお迎えした。「新しい牧会様式」をテーマとして、昨年からの新型ウイルス禍が、どのように教会、特に牧会の状況に影響をもたらしているのか整理し、その課題とそこに見出されている可能性について発題いただいた。

感染症の特質として、人と人が会うこと、集まること、会話すること、食事を共にすることなどが避けられることになった。いずれも教会の活動の中心的な活動に自粛が求められたことで、大きなチャレンジを受けてきた。

当然に、礼拝や集会を通常の形で持つことが困難になったのであるが、その中で、日本中の教会で、制限された活動形態をとりながら、同時に礼拝、特に説教をオンラインで配信するなど新しい動きと可能性が生まれてきている。

こうした教会活動のオンライン化は、デジタル格差と言われる課題を生み出してもいるのだが、これまでのWebの伝道的な取り組みとは異なり、教会員のために新しく整えられたことによって、今まで教会に来ることができなかった方々を礼拝に結び合わせたり、家庭の中に礼拝が入り込むことで新しい伝道や証が起こっていくということも経験されている。

ただやはり、信徒の方々が孤立化し、あるいは経済的にも生活の面でも大きな困難が襲っていること、それが精神的にも家族の関係の中にも様々な課題をもたらしているのも事実だ。

いずれにしても、こうした状況は、単に感染症による一過性のことではなく、現代社会の根本的問題が炙り出されてきたものだと指摘された。都市化して、さらにメディアやA Iなどによって人々の生活や関係のあり方、いや人間そのものが変化しているという視点から、改めて教会とは何か、礼拝、説教とは何かという本質的な問いが生まれている。そして、なんといっても人と人とが実際にふれあい、共にあるということの重要性、そこでこそ福音が証され、分かち合われ、生かされていく恵みがあることが確認されてきていることなどが話し合われてきた。そうした脈絡の中、サクラメントの理解など神学的な課題は、教会の本質論とも深く結びついて新しい言葉で語られるべき重要な課題となっていることが浮かび上がってきたように思う。

 

【第2日目】

2日目の講師には日本福音ルーテル教会の関連である社会福祉法人デンマーク牧場福祉会(静岡県袋井市)こひつじ診療所で精神科医として働く武井陽一医師を迎えた。テーマは「見よ、今や恵みの時、見よ、今こそ救いの日〜豊かなる大地に守られながら、一人ひとりに寄り添って〜」。

まず、最初に武井先生ご自身がイエス・キリストにある救いの約束、終末への信頼から、困難と暗闇が続いているように感じられる現実の中にあってもなお希望の中に信仰の歩みが与えられている喜びの証しをいただきながら、デンマーク牧場の設立の理念と実践を紹介された。広い敷地に豊かな自然が広がり、そして羊や牛などの動物たちとともにあるデンマーク牧場で、私たちは神の被造物として生きるその本来の恵みを感じさせられる。そこに自立援助ホーム、就労支援、児童養護施設、特別養護老人ホームなどが広く展開されている。武井先生は一人ひとりと向かい合い働く中に第三者の眼差し、すなわち神とイエスさま、また天国にある人たち、さらにはさまざまな困難と課題の中に生きている方々の眼差しを感じることの大切さを語られ、また逆に私たちがいま誰を思い、祈るのかという課題の中にあることを示された。

現代を共に生きる人々とその苦しみへの深い関心を持つことが、全ての人に開かれた私たち自身の在り方を生み出し、また、それぞれの人がそこに安心して生きていく居場所を作っていく。私たちはコミュニケーションの破壊と自分の特定な関心事への依存の中で、主体的な自由を生きられなくなっている現実があるのかもしれない。神と人と自然を愛し、その深い関係のなかで厳しさと恵みとに出会いつつ、「自分の弱さを受け入れ、心を開きあう」関係が築かれていく。デンマーク牧場での、一人ひとりに働きかける実践的格闘に学ぶことは多いと感じられた。

 

【第3日目】

この日の講師は、日本ルーテル教団鵠沼めぐみルーテル教会教職である梁熙梅先生。教会の女性たちの視点から話していただきたいというリクエストに応えて「コロナ禍の中の教会の在り方~マルタたちの居場所 イエスのキッチン~」という発題をいただいた。

最初期の教会は、家のエクレシアとして始まっていく。例えばヨハネ福音書では、マルタが兄弟ラザロの亡くなったときにイエスを迎え、その深い悲しみの中で直接に主に問い、終末また死と復活について主と対話したと記されている。その時代から今に至るまで「もてなし」、「癒し」、「共同の食事」など教会の大切な働きを支えてきたのは女性たちであり、それが伝統的役割であったことはわけだが、その古い家父長制の中にあっても女性もまた主に問い、みことばを聞いて、預言者として働いてきたことなどが説き起こされた。

今、礼拝、集会など教会の活動が全てオンライン化することで、女性たちが担ってきたこれまでの多くの活動は制限を受け、相互の交わりが失われていくような現実が確かにある。しかし、女性たちはこの只中で電話や訪問などによってお互いを訪ね、助け合い、また牧師を支えて、コロナ禍にも拘らず、実は相互牧会を実現している。

礼拝の中止やオンラインでの配信という実態がありつつも、社会の中に置かれている教会の役割は、このような暗い状況の中だからこそ、礼拝の恵みとしての死と復活の福音を示し、希望の光を灯していくべきと、本質論から問い直された。

本来「礼拝」は礼拝としてだけ存在するのではなくて、それを中心とした教会の全ての働き、招き、集まって、共にみことばを聞き、そして働き、生きるというその脈絡の上にあることでこそ実現される福音宣教なのだと確認された。そして、その「礼拝」そのものも、「交わり」、「奉仕」、「教育的な働き」という日々の教会生活によって豊かにされ、しっかりとその恵みが受け取られてきたのだし、そのほとんどを実は女性たちが支えてきたということを覚えられるべきではないか。

男性か女性かということが問題の核ではないけれど、この視点を持って見ることで、改めて深く「教会の本質」が捉え直されてきたように思う。

 

それこそオンラインでの開催ということで、出会えない寂しさもあったが、日本全国から参加をいただいたことは恵の一つ。地方の教会と都市部の教会との違いなどについても改めて気付かされることも多かった。今後さらに深めていく課題に気づかされたセミナーだった。感謝して、三日間の臨床牧会セミナーのまとめとしたい。

2021-02-25

2021年度 牧会研究会 (デール・パストラル・センター主催)

主題『コロナ禍における牧会者の生活』(全4回)
2020年度は、COVID-19の感染拡大を受けて、1年間牧会研究会を結局休会とせざるを得なかった。しかし、それこそ今の私たちの置かれている現実。緊急事態宣言やアラートが出ていなくても、見えないウイルスの脅威にさらされた日々。自粛生活は、日常のあらゆるところで求められて、私たちが人間として最も大切にしてきた人と人との繋がり、ともに集い、交わり、活動し、会食するということが制限されたのだ。
教会もまた礼拝を制限せざるを得なくなった。聖餐式はもちろん、賛美も、交唱もマスクの中で飲み込まれていく。私たちの信仰は、ただ、説教によって養われるのではなく、自ら祈り、賛美し、神の言葉を口にして、信仰の交わりの中でこそ与えられてくるはずなのに。。。
牧師たちは、この教会における新しい信仰生活の中で苦闘している。集えないでいる方々のためにも礼拝を守り、オンラインで配信し、メールや郵送でみことばを届け、できる限りは訪問し、取りなしを祈っている。しかし、神の言葉は、人々を招き、集められた交わりの中で説教と聖礼典を通して福音として分かち合われ、互いを取りなし、祈りあう教会を生み出す出来事なのだ。その神の言葉の出来事性が、今は見出すことが難しい。霊的な孤立化を牧師が最も深く受け取っているのかもしれない。
けれども、みことばはいつでも私たちを見捨てることなく、私たちに語りかけ、働きかけてくる。静かにその力とその奇跡とをたどること。牧師たちには、その霊性を養って新たに自らをその働きのうちに整えるものであってほしい。
今年の牧会研究会は、オンラインでの開催となる。全国どこからでも参加していただける。4回のみだが、この交わりの中から、新しい牧師たちの祈りあう交わりも生まれるように願っている。

2021年度牧会研究会(全4回) 主題「コロナ禍における牧会者の生活」

   


  第1回 49日(金)
 Covid-19の時、牧会者のスピリチュアルなケアを考える牧会者が自分自身をたいせつにすること~」
   講師:ジェームス・サック(DPC所員)

第2回 79日(金)「『寄り添い』について考える」

講師:堀 肇(DPC所員)


第3回 108日(金)「『牧師のライフサイクル』を考える」

講師:堀 肇(DPC所員)


第4回 114日(金)「霊的同伴を歩む」
         講師:成 成鐘司祭(日本聖公会東京教区司祭)


l  対象:教派にかかわらず、牧会者の方

l  受講料:¥5,000(全4回)

l  申込み方法:326日(金)までに、下記リンクから

https://www.luther.ac.jp/lutheran/form./online.bokkai.html





2020-02-26

2020年度 牧会研究会

2020年度も日本ルーテル神学校・デールパストラルセンターは牧会研究会を開催します。
月の第二金曜日の午後1時半から2時間の研究会を1年間、10回のプログラムで準備しています。場所は、新大久保にある、日本福音ルーテル東京教会の会議室。

予定は、下記の通りです。教会、また関連施設に働く牧会者の皆様に実践的な課題にを共に学び、分かち合う時間とさせていただいています。
特に、今年度は、堀肇先生に牧会カウンセリングに重点をおいた5回の講座をお願いしています。心理学を実践的に応用したカウンセリングについて学ぶことができます。きっと、牧師先生方がすでにもっていらっしゃる経験的な知と技術を今一度客観的に捉え直し、分かち合う力を高めることにお役に立てると思います。




  
410日「日本の牧会のこれまでと課題」(関野和寛)
58日「家族療法の応用牧会カウンセリング講座1」(堀肇)
612日「人間のパーソナリティ(気質)に基づくカウンセリング」(ジェームス・サック)
710日「発達心理学の応用牧会カウンセリング講座2」(堀肇)
911日「牧会者の危機~失敗と挫折から~」(石居基夫)
109日「交流分析の応用牧会カウンセリング講座3」(堀肇)
1113日「霊的同伴のあらまし」(齋藤衛)
18日「フランクル心理学の応用牧会カウンセリング講座4」(堀肇)
212日「スピリチュアル・ペイン(心の痛み)とそのケア」(ジェームス・サック)
313日「キリスト教的愛と心理療法牧会カウンセリング講座5」(堀肇)

費用:全10回で二万円。

お問い合わせ、お申し込みは下記まで。
E-mail: dpc@luther.ac.jp

2019-02-15

詩編と祈り 〜音楽のスピリチュアリティーとともに〜

「リラ・プレカリア(祈りの竪琴)」という奉仕活動があります。病床にある方、死に直面している方、また心身の癒しを必要とする方に、ハープと歌を通して祈りを届け、魂の癒しをもたらす働きです。日本で、キャロル・サック氏(米福音ルーテル教会宣教師)によってその活動が始められ、奉仕者養成の講座が12年間続けられて38名の奉仕者が育ち、全国の様々な場所でこの奉仕を続けています。



 この「祈りの竪琴」については、以下のHPに詳しく紹介されています。
       http://www.jela.or.jp/lyraprecaria/index.html

 リラ・プレカリアの奉仕者養成で、最も大切なことは、ハープや歌の技術レッスンではありません。この奉仕者自身が、目の前の一人の人の魂の深い苦しみや嘆きに寄り添い、祈る霊性を養うことです。宗教が何であれ、思い病にあることや死を目の間にする人間の心の奥底にある求め、魂の深みに気づくことがなければ、誰の魂の深みにも祈り持って寄り添うことはできません。

 奉仕者養成は、一つの節目を迎えました。けれども、その養成プログラムには様々な学びがあり、何かを継続することができないか。そんな願いがあちらこちらから届けられました。そこで、そのプログラムの中の一つを公開講座として多くの人々にこの霊性(スピリチュアリティ)を深めていただきたいと、そう願って一つの公開講座を作ることになりました。
 デール・パストラル・センターの「詩編と祈り〜音楽のスピリチュアリティーとともに」です。
 この講座については、以下のHPをご覧ください。
      http://www.luther.ac.jp/news/20190205-02.html

 この講座はキリスト教の長い歴史の中に用いられてきた詩編や礼拝の時の祈りの歌などを通して、人間が「神」と呼び、その信仰を形作ってきたキリスト教の世界に深く学びます。そのことを通して、私たち人間一人ひとりが持つ魂の深い息遣いを知っていくことでしょう。もちろん、学びをする方がどのような信仰をお持ちであっても、この講座を取っていただけますが、そうした内容であることはご理解いただき、学んでいただければと思います。ただ、いずれの信仰をお持ちでも、そうでなくても、私たちが宗教とか信仰といってきたものについての新しい気づきと自身の霊性に大きな養いが与えられることと思います。
 講座は、1期4回。全部で4期まであります。通しで取っていただくことも、バラバラでも構いません。ただ、一つの期はまとまったプログラムですので、そうご理解いただければと思います。
 定員があります。定員を超えてお申し込みがあった場合にはお断りすることがありますので、どうぞそのことも合わせてご理解くださいますように。

すでに、第1期については、定員を超えてお申し込みをいただきました。本当にありがとうございます。第II期につきましては、全く新たにお申し込みいただくことになります。





2018-12-17

「危機のただ中に立つ牧会 ~あなたを支えたい~」臨床牧会セミナー 2019

日本ルーテル神学校と付属研究所デールパストラルセンターの共催で
来年2月に 第三回となる臨床牧会セミナーを計画している。
日程は、2019212日(火)1500 ~ 14日(木)1200

主題は、「危機のただ中に立つ牧会 ~あなたを支えたい~」


牧会は、様々な人生の危機のただ中に立つお一人おひとりを、神の恵みにおいて支えることを使命としている。けれども、同時に、この牧会そのものが人間と人間のコンフリクトがおこる現場であり、思わぬ形で牧師が信徒を傷つけてしまったり、その逆のことが起こったりする。つまり、ある意味で牧会そのものが “危機の只中にある” ともいえるのだ。

 この牧会の働きを強めていくためには、具体的な課題を学ぶこととともに、働く牧師や教会にどのようなサポートが必要なのか、可能なのか。
ともに学ぶ機会としたい。

 教派を問わず、牧師の方々に、ぜひおいでいただきたいセミナーです。



基調講演:「ぶっ壊して、造り上げる牧会のダイナミクス」(仮)
 講師:関野和寛(日本福音ルーテル東京教会牧師、デール・パストラル・センター所員)

分科会:
   心の病
河村 従彦(イムマヌエル聖宣神学院院長、牧師・臨床心理士、本学大学院総合人間学研究科臨床心理学専攻修士課程修了
    ハラスメント
城倉 由布子(東京女子大学キリスト教センター宗教主事
    結婚・非婚・離婚
堀 肇(鶴瀬恵みキリスト教会牧師、ルーテル学院本学非常勤講師、キリスト教カウンセリングセンター講師、デール・パストラル・センター所員
    高齢者の課題
賀来 周一(日本福音ルーテル教会引退教職、キリスト教カウンセリングセンター理事長、デール・パストラル・センター顧問

開会礼拝/まとめ
   石居基夫(日本ルーテル神学校校長、デール・パストラル・センター所長)