2009-05-18

天然空洞木


 アボリジニの民族楽器、ディジュリドゥ。現地の言葉ではイダキという。ユーカリの木の中を白アリが食べた後空洞になっているものを、切り出しただけの筒状の楽器で、切り口に直接口を当て、金管のように唇を振動させて吹く。
 大学の上村先生のご紹介で、この楽器の演奏者が今日の夕方にチャペルで短い演奏を披露してくださった。ちょうど、今日は私の授業でもアボリジニを紹介するビデオを見たところだったので、導きを感じて、同じ時間の授業の学生を皆連れて演奏を聞かせていただいた。演奏者はKNOBと名乗られる日本の方。

http://www.knob-knob.com

アボリジニはオーストラリアの原住民族で、一時期絶滅寸前に追い込まれたが、保護政策などで現代的な生活と伝統とを融合させた独特な文化を今も大事に保っている。
アニミズムかトーテミズムの宗教的世界観が人間と自然との調和を持てるように働く。その宗教の祭りや踊りなどのときに演奏される楽器の一つがイダキである。
 深い息が、万物に宿る霊との交流を現出させるかのように、低く響くときに、神秘的な力強さを聞く者の心に届ける。
 キリスト教の信仰では、神の霊、聖霊はへブル語ではルーアッハ、ギリシャ語ではプネウマと呼ばれ、風とか息ということばとおなじである。そうした目に見えないけれども、確かな力を持つ存在が、いのちの根底にあることを、共通に感じていることなのだろうと思う。
 この楽器が、精霊の響きをただ、空っぽの筒によってもたらすというのは、本当に興味深い。私たちも空っぽになって、はじめて神様の息吹きが新しい響きを持つようになるのかもしれない。
 
 (あなたのいのちが、神様の息吹によって、新しく生かされますように)

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