2009-05-14

「包括的臨床死生学研究所」と「コミュニティ人材養成センター」


百周年を迎えるうちの大学が、今年新しく二つの事業を開設した。一つは「臨床死生学研究所」、もうひとつは「コミュニティ人材養成センター」。神と人とに仕える働き人の養成を使命としている本学が、人間の根源的な問題としての「死」の問題に取り組むということと、仕える人を育てるという働きを足もとの地域共同体の中で具体的に担っていく事業の展開基盤を作っていくということだ。
 昨日、その創設記念会が開かれた。小さな学内で準備されてきた新しい取り組みは、その都度いろいろな形で報告もされてきたし、自分もその準備の過程で全く関わらなかったわけでもないのだけれども、改めてはじめられた取組みの姿を知って、心打たれるものがあった。自分の大学の取り組みを持ち上げるのは気が引けるが、財政的にも人的資源にも限りがある本学がその持てるものを用いて、なそうとしていることの重要性を改めて考えたことだった。江藤神学校校長が神学校の百年をたどりながら、ルーテル教会が教育と福祉に力を入れてきたこと、その上で一人ひとりのいのちを守り育む使命を担ってきたことわかりやすく示された。このだ学が、その教会の大きなミッション(使命)の中で働き人の養成を担ってきたことを再確認させられた。また、白井幸子教授は臨床死生学についてのプレゼンテーションをされ、このミッションがどんな問題に真向い、取り組もうとしているのかということを深く考えさせられたことだった。すべての人が必ず死と向かい合う。その事実をとらえつつ、すべての人の命、心、生活を支えていくために、机上の学問ではなく、臨床としての研究がなされていくことの深い意義を思わされた。この「包括的臨床死生学研究所」をもつ高い志をどのように実現させていくのかその責任を思うところであった。
 そして、そういう本学の様々な取り組みが新しい地域社会を作っていくために、プログラムをあたらしいかたちで提供しようという「コミュニティ人材養成センター」もぜひ軌道にのせていきたいものである。小さな大学の地道な取り組みが、よき実りを持つように自らの在り方を改めて襟を正して考えている。

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