2013-08-04

『死を見つめて〜よりよく生きる』

ルーテル厚狭教会で『死を見つめて〜よりよく生きる』をテーマにお話をさせていただいた。「死」という普遍的テーマは、「生きる」ということを深く知る手がかりという性格を持っているが、どちらかと言えば、それについてわざわざ取り上げることは「タブー」とされて来た。しかし、近年は敢て積極的に語られるようになって来たと言ってよいだろう。そうした現代の「死」をめぐる文化を探り、死を見つめることから生を求める今日の日本人のスピリチュアリティーを探りながら、キリスト教信仰における生を深く考察してみた。特に十字架におけるキリストの死と復活が何を私たちの信仰のいのちに与えるのかということを考えてみた。
お集りいただいた方から、すばらしい証をいただき、私自身が教えられ、また導かれた思いを深くした集会だった。

以下、講演のレジュメ。
             
0. 死を知る人間
 宗教、哲学における普遍的テーマとしての「死」
 ソクラテス、プラトン
 パウロ、アウグスチヌス、ルター、パスカル、
 キェルケゴール、ハイデッガー、バルト

1. 「死ぬこと」を積極的に語る文化?
(1)死への備え
  「病院で死ぬということ」「葬式無用論」「平穏死」「エンディングノート」

(2)死を受け止めるスピリチュアリティ 
  「大河の一滴」「葉っぱのフレディ」「千の風になって」

(3)「死」から「生」を問いなおす
   映画『おくりびと』(滝田洋二郎監督)、天童荒太『悼む人』など


2. 現代における「生きること」の課題
   〜天童荒太『悼む人』(文藝春秋 2008)をヒントに 
(1)死者を忘れる=生が軽んじられること?
   「悼む人」が生み出された世界

(2)関係の希薄化
   誰を愛し、誰に愛され、誰に感謝されたか

(3)求められる和解
   関係の崩壊と心の傷


3. 生を支える三つの柱
  小澤竹俊『13歳からの「いのちの授業」』(大和出版 2006)をヒントに
(1)時間の柱
   過去から未来へ  (死と時間を超えて)

(2)関係の柱
   家族・友人  (神との関係)

(3)自由の柱
   自立と自律  (魂の自由)


4. 死を見つめること 
  姜尚中『心』(集英社 2013)をヒントに
(1)生きることの意味
   無意味な死と無意味な生?

(2)どこかが間違っている
   正しいことと間違っていること、白と黒、右か左かを弁別できるのか?

(3)自然と人間の知恵
   自然を支配し、コントロールできるか? 相克のなかで 


5. 信仰における生 
(1)愛された人間の生 
   神に愛されて、求められた生 
    (参照:フランクル『夜と霧』)

(2)赦しと悔い改めの生 
   キリストの愛によって、新しく生きる 他者のための生
    (ルター 「キリスト者の自由〜自由と愛に生きる」)

(3)人間も被造物もともに希望に開かれている
   終末の約束が今すでに (ローマ8:22)
   被造物に対する責任も (創世記2:15)

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