神学生へ、おすすめの一冊。神学を学ぶということの面白さを味わうだろう。
大木英夫の『終末論』。現在、既に絶版?のようだが、中古ならなんとか手にはいるだろう。本書は90年代になってからの出版だが、「終末論」は70年代に繰り返し議論され取り上げられたテーマの一つだ。
終末論 (精選復刻紀伊国屋新書)
近代の合理主義・啓蒙主義下で生まれ展開をして来た自由主義神学、また史的イエス研究の展開は、人間理性のなかで宗教(キリスト教)の意義をとらえ直そうというチャレンジであった。カントの影響を強く受けながら展開されていく神学思想のなかで「終末論」がどのように理解されて来たか。さらにはバルトの危機神学へ、そして、その批判的継承者としてのモルトマンへと流れていく神学潮流の中に、「終末論」がどのように変遷して来たのかを鮮やかに示してくれる。
終末論は、単なる教義学の一項目なのではなく、神学の構造、性格を決定する枠組みであるということに目を開かれる。
近代神学の歴史を学ばないといささか難しいかも知れないが、むしろ、この本を繰り返し読むことで理解が深まるので、是非取り組んでいただきたい本だ。
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