毎年、9月23日に行われる伝統の一日神学校。
今年のテーマは『ルターからの贈り物〜Lutheran Legacy 500 』。4年後の2017年、宗教改革500年記念に備えての企画だ。
プログラムは以下を参照
http://www.luther.ac.jp/news/130725/index.html
午前中、ルター研究所の鈴木浩所長と高井保雄先生と石居でシンポジウムとなる。どんな話になるか自分でも楽しみだ。
ルターの「宗教改革」と言われるけれども、中世西欧のキリスト教的一体世界における歴史的出来事。つまり、むしろ「宗教」という枠組みのなかでの「改革」に留まらない決定的な歴史的変革の出来事というより広いパースペクティブで捉えるべきだろう。
具体的に、それは教会中心的な中世社会の終焉における社会改革運動とも言ってもよいか。ローマ・カトリックという教会の支配と神聖ローマ帝国という世俗の支配の中央集権的な体制は、その基盤を失い、また、新しい個の出現と地方から構造が胎動するなかにおこってくる歴史の産物でもあろう。科学や理性の時代の到来、活版印刷術による新しい情報社会、そして航海術による地球規模の新しい世界の広がり。世界が大きく変わっていこうとするその只中で、決して明るい未来を望むことの出来なかった世紀末の暗い死の影に包まれたルターは、純粋に中世の精神に生きつつ、「この世に生きる」ことの確かさを求めた。だからこそ、それは神との格闘であったし、だからこそ、これは宗教改革なのであった。
やがて、その信仰の軌跡は、神学の基本的な構造を書き直すことになるが、それは確かな形をとって、礼拝の改革、信徒の具体的な信仰生活への変革をもたらしたし、それは教育・福祉という当時の社会における公共のシステムに新しい変革をもたらした。
やがて、これが近世の始まりと呼応する。
ルターからの贈り物とは、単にルターが何を始め、なにを遺してくれたのかという事をあげつらうのでは何にもならない。その時代における人間の最も深い「危機」をどのように生きようとしたのか、そして、また生きる力を与えられたのか。その格闘に学ぶところにあるのではないか。そんな事を考えている。
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