2013-10-02

神学生必読書。アウレン『勝利者キリスト』

神学生の必読書。
グスタフ・アウレンの『勝利者キリスト』。研究の基礎は贖罪論の類型論的研究だ。古典的贖罪論、法廷論的贖罪論、そして主観的贖罪論。キリスト教神学史をたどり、この三つのタイポロジーによって、キリストの十字架による贖罪理解の特徴を捉える研究だ。こうしたタイポロジカルな研究は、ルンド学派の特徴のひとつ。この研究をもとに、中世末の宗教改革者ルターの贖罪理解について、それが通常理解されて来た法廷論的な理解よりも、古典的なものによっていると主張し、大胆に切り込む。

勝利者キリスト―贖罪思想の主要な三類型の歴史的研究

もちろん、単純に古典タイプといっている訳ではない。そこにルターの独自の視点があることを明らかにしたアウレンの貢献が見られるのだ。
こうしたアウレンの見解に対し、同じルター研究の第一人者の一人アルトハウスは異なる見解を提示することになる。ルター理解を進めていくうえで、非常に重要な論争と言っても良いだろう。
 すでに80年以上前の研究だが、この研究の重要性は変わらない。ルター研究という意味でもこの書は勧められるけれども、タイポロジカルな研究が、神学の深みを探る醍醐味を教えるものでもあって、神学生には必読の一冊。

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