2012-07-02

くまとやまねこ

絵本は、子どもの読むものというのは必ずしも正しくない。むしろ、絵本という表現によっていろいろなテーマに迫る一つの形なのだ。
近年、「死」というテーマをいろいろな角度から取り上げる絵本が出版されるようになった。もちろん、それが子どものためのものということでは必ずしもない訳だけれども、子どもにも触れやすいものとして作られた作品は大人が子どもと一緒にその作品を通して、一緒に考えたり、話したりすることのできるものだと思う。



主人公のくまは、大の親友のことりが死んで、ふかい悲しみの中に過ごす。死んだことりを忘れて前向きに生きるように言われても、この悲しみをいやす力にはならない。ただ、時を過ごして、やまねこと新しいの出逢いの中で、くまはことりの死を死として受毛止めていく力を与えられる。死を否定するのではなく、死んだものがどれだけかけがえのない存在であるかということを分かち合うことが、できたからだろう。そうして、死んだことりはしんだものでありつつ、ともに生きるものとして受け止められ、くま自身の新しい歩みが見いだされていく。

静かな絵本だが、「死」の受容、グリーフワークの働きを伝える良書。







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