2011-08-10

大学生への推薦図書⑨ 森岡正博『宗教なき時代を生きるために』

現代日本の精神状況とその中で「生きること」の問題と真摯に向かい合う森岡正博氏の小論集。
オーム世代と言ったらよいのか。森岡氏自身も含め、50年代の終わりから60年代の初めに生まれた者たち(私もその中の一人)は、95年のあの事件のさなかテレビに映し出されたカルト集団の中に「自分」の影を見出す世代だ。その彼が現代をどのように見つめているのか。また、どのように「いきる」こと、生命の問題に取り組むのか。その姿勢がよく示された一冊である。



授業でもとりあげている、示唆に富むものだ。

2011-08-08

大学生への推薦図書⑧ 石牟礼道子『苦海浄土』

自然を破壊し、いのちの苦しみを生み出した「チッソ」。大資本の産業構造と人間社会のひずみ、そのもとに言葉を奪われていく民衆の深いさけび。水俣病の被害地に身を置いて、そのすべてについて、透徹したまなざしを注ぎ、力強い筆で記した文学的記録。



大学時代に手にしたこの作品は、私のこころの奥深くに、絶望と希望のありかをさぐらせる土壌の一つとして宿っている。
たとえば、日本で大きな独占的企業が政治的力を巻き込んで、小さく、弱い人々の生活に多大な被害をもたらしているときに、たとえば中国で大きな事故があって、その責任のゆくえがくらまされる時に、この記録が教えるものは大きい。
私たちは何を見ているのか。遠く離れてしまえば、あたかも何も関係のないように生き得る私自身を持て余すほどに、私たちの心は彷徨うのだ。私はどこに立つのかと。
そんな問いかけをもたらす一冊。

2011-08-06

『説教学講義』

久しぶりにいい本に出会いました。
1930年代後半、ドイツがナチス政権によって支配されて非人間的な政策を実現していく道をまっしぐらに進むとき、ドイツ的キリスト教への根源的な反対の立場に立った、イ―ヴァント。教会が真にキリストの教会であり続けるための務めを、ただ説教が語られること、つまり人間の言葉ではなく神の言葉が語られるということに見る。時代を思うと、イ―ヴァンとの一言一言の重みを実感する。
時代のなか、世界の只中に神の語りが起こるということ。その奇跡を私たちが共に与ることができるように説教者は召されているということを改めて思い知らされる著作だ。


牧師であること、説教を語るものとしての召しについて、深いインサイトを与えられる。
牧師・神学生は必読と思う。

2011-07-18

「いま、語るべき言葉 東日本大震災」

待ちに待った夏号が届いた。雑誌『ミニストリー』の特集。

http://www.ministry.co.jp/

各地の牧師の葛藤、いや信仰者の葛藤を真正面から取り上げる。
被災地の状況とそこで見いだされる取り組み。けれど、何よりもみ言葉をどのように分かち合えるか。
私たちの今に、語る神の出来事を見いだしていきたいものだ。

2011-06-03

2011年ルターセミナー

今年のルターセミナーは5月30日から6月1日まで、例年通りの三浦のマホロバマインズで、「宣教」をテーマに開催された。
私の発表は「義認論と現代人の魂の求め―現代日本の宣教的 課題とルター主義」。今、日本というコンテキストの中で、ルター主義に立つ私たちはどのようなメッセージを発信するのか。福音を生きた神の語りかけとして時代の中で一人ひとりの心に受け止める信仰と神学を表したルターの伝統に立つことを今改めて問い返しつつ、今日の宣教を考えたいと、発表したもの。
この発表原稿は、もう一度書き改めて論文としたい。


https://docs.google.com/document/pub?id=1QwMrtcRF1mAONwbneHjQab2Y2uDqKZJuk9LcPj5LMRM

現在、考えていることを率直に言葉にしていきたい。

2011-05-08

大学生への推薦図書⑦ ヴァイツゼッカー 『荒野の40年』

歴史に生きる私たちが、この歴史の中で何を心に刻むのか。
戦後40年という節目に、ドイツの大統領が語った演説。
今年、戦後66年目に、私たちは改めて歴史を心の刻むということの大切さを知らされている。あの原爆の恐ろしさを体験したことは、いったいなんだったのか。ただ、国と国との戦争とか敗戦という視点ではなく、人間、科学信仰、経済優先の社会、人間の権力などが何を生み出していくのかということを見通していく眼差しが歴史をしっかりと見つめること。その時にかたるべき言葉は何かが考えさせられる。



自分が神学大学に進んだ年。1985年のもの。今年、改めて読んでみて、新鮮な響きをもった。

2011-05-02

大学生への推薦図書⑥ レイチェル・カーソン 『沈黙の春』

自然と人間の関係を考察するのには欠かせない一冊。
現代の生活の中に用いられる化学薬品がどれほど自然を破壊し、いのちを脅かすものか。その恐ろしさを突きつけられる。



この本も高校時代に生物の先生に勧められたものだった。もう古いと言われてしまうかも。