それぞれに興味深いし、特に海外から招くこととなっているその分野研究での世界的第一人者と呼ばれる先生方の講演会は、普段なかなか聴くことができないので、是非にこの機会を生かして学びを深めたいものだ。
しかし、やはり私たちはこの日本においてこの歴史的な節目を迎えているという特殊性の中から思索を深めるものでありたいと思う。その意味でも、各種の研究者らが協働で企画を考えたりシンポジウムが開かれたりしていることは、非常に重要だと思う。
日本基督教学会第65回学術大会(2017年9月29日〜30日・場所ルーテル学院大学・神学校)も、2日目午後のプログラムにおいて、特別な企画を組んでいる。
シンポジウム「宗教改革とポスト近代」(9月30日 14:00~16:30 )は、神学畑からだけでなく、より広い視野から宗教改革の意義をとらえ、今、この宗教改革500年を迎える意義を問うものだといってよいだろう。
シンポジスト:大澤真幸氏(社会学者)
江口再起氏(ルーテル学院大学)
深井智朗氏(東洋英和女学院大学)
西原廉太氏(立教大学)
大澤真幸氏は学会員ではないし、キリスト者でもない。キリスト教を専門にしているかというとこれも違うと言ったほうがいい。しかし、キリスト教についての深い関心に裏付けられながら歴史、特に近代の問題を深く学んでおられる。
江口再起氏は、ルーテル教会の牧師としての勤められた後、キリスト教学、特に歴史と組織神学を専門としてこられた。『神の仮面』にも見られるようにルター神学を基に現代社会を深く考察されてきた。
深井智朗氏は改革派の神学的な立ち位置から近現代を問い、積極的に 著作を出してこられた。近著「プロテスタンティズム」は、保守的ルター派と第二世代のプロテスタンティズム の二重構造から近代を切り開いて見せる。
西原廉太氏は日本聖公会の司祭としてアングリカニズムの研究を深めつつ、現代世界 のエキュメニズムの研究と実践に大きな貢献をされてきている。教会の現実を踏まえつつ、教派を超えての交わりにキリスト教の豊かな広がりと可能性を求めている。
この方々に、今の課題を見定めていくために「近代」をどのように捉えるのか、またそこで宗教改革とは何かを語っていただけると思うだけで、わくわくする。私たちが時代の曲がり角で、改めて、キリスト教の可能性をみいだすことになるだろう。
宗教改革は中世末の出来事といってよいと思うが、ここは「近代」の黎明でこのすぐあとにヨーロッパの新しい時代がはじまる。近代を呼ばれるが、いわゆる「モダン」。20世紀末には、この「モダン」の世界状況は終焉を迎えたと考えられ、いまは「ポスト・モダン」の時代とも言われる。
では、モダンとは何か。未だ中世に属する宗教改革の契機の中に「モダン」を捉える何があるのか。それを超えるということは、何を意味しているのだろうか。
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