カナダの先住民族に対する同化政策のもと、クリー語を話した人々がことばも装いも自分たちが自分たちである当たり前のことが奪われた。その中で子どもたちがどのようにして自らのアイデンティティ、誇りや尊厳を守ってきたのか。この小さな絵本は、歴史の中に隠されながらも自らが自らであることを生きる権利が奪われていく辛さと、その中で生きることの本当の喜びを守るべきことを教えている。
デイヴィッド・アレキサンダー・ロバートソン(著), ジュリー・フレット(イラスト)
世界のいたるところ、そしておそらく歴史上いつも繰り返されてきたことかもしれない。支配被支配の構造の中で苦しみを余儀なくされてきた人々がある。
性別、生まれ、肌の色、部族・民族、言葉・文化・宗教の違い。障害や病気、貧富の差、教育の違い。そうしたものが、差別と抑圧の原因となり、生きることの喜びと尊厳を奪われることが起こるのだ。
力がないから仕方がない、と、そういってしまえば、人間が本当に人間として「共に生きる」価値を失う。数の論理で多数を占めるものが世界のあり方を決めるのは、決して平等でもないし、民主主義でもない。難しいことかもしれない。けれども、諦めずに求めていくべきことがある。守るべきものがある。
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