リラ・プレカリアは、「祈りのたて琴」として知られているが、アイリッシュ・ハープを用いて、必要とする人たちに祈りの音楽を提供する活動だ。高齢の方、重い病気の患者さんや心に傷を持った人たち、また災害にあったり、愛する人を失った方などに、寄り添いつつ、ハープと歌の音楽が永遠とその人をつなぐ。
この活動をする人たちを養成する二年間プログラムをJELAが提供している。
その中の一講座を公開して、一般の方々にも聞いていただいている。その公開講座の最終を受け持った。
講演は「日本人の死生観〜そのスピリチュアルニーズとキリスト教〜」。今日の日本人は、私たちが「死」という問題にどのように向かい合っているのか。東日本大震災やISのテロなどの経験は、特別な出来事だけれども、現代を生きる私たちの魂の深い問題を照らす出来事でもあった。そんなことを説き起こしながら、具体的に、今、死と向かい合う魂にどのように寄り添い、援助できるのかを共に考えた。
天童荒太の『悼む人』、いとうせいこう『想像ラジオ』、姜尚中『心』、若松英輔『魂にふれる』などを紹介しながら、現代の私たちが死んだ人の魂に向かい合い、死者の声を聞いていくことで、今を生きることの意味を受け取ることやあるいは今を生きる魂の深い痛みに寄り添う力も得ることができるのではないかと、そんなことも含めての話をさせていただいた。
人間の理想的な姿ではなく、むしろ現実の破れや傷ついた関係を生きる私たちの悩み、苦しみ。やすらうことを失った放浪の魂の現実を、罪の問題として考察を試みてみた。
ルカ15章の放蕩息子のたとえも用いて、神からのアプローチこそが、本当の救いの鍵になること。そのメッセージに生かされて、その福音を示すことば、そして、ことばではないことば(働き、奉仕)のなかにどこまでも私たちを捨てておかない、寄り添う神の愛を分かち合う鍵を分かち合うことができたかと思う。
より具体的には、認知症の方々やその人と共に活きる私たちのスピリチュアリティーの問題にもふれた。